扉が閉まる音を合図に
パンドラの箱の隙間から楽器隊の演奏がこぼれた。
箱の中では、陽気な音楽に合わせピエロのように
頬に涙を描いて踊っているわたしの姿が想像できる。
運命の訪れや選択に知識も余地も無かった頃に
「現実」を「過去」の箱の中に押し込んでリボンをかけて置いておいたんだ。
素敵なプレゼントみたいにその箱にリボンをかければ
少しはよく見えるんじゃないかと思って。
大義名分や理屈という名のリボンをかけて。
それは喜ばしいプレゼントではない。
それは開けてはいけない闇のパンドラの箱。
箱からこぼれ出る音楽
呼び起こされる箱の中身の世界。
引き戻され頬に涙を描き一心に神に祈った。
どうかどうか・・・・・・・
祈り疲れて翌朝眠りから眼覚めると
「過去」の箱と「リボンの効力は扉が閉まる合図以前に戻っている。
既に頬に涙は描かれていないのを鏡越しに確認でき、
昨日の出来事が「過去」に収められたなら、
今日という「現実」に何事も無かったようにまた繰り出すことが出来る。
衝撃的な夜。
そんなもんないと思って過ごしていたのに
無意識の中にトラウマが存在していた。
自分のなかに「過去の箱」に「大義名分や理屈のリボン」をかけた
パンドラの箱が確かに存在していた。
そう知ってしまった以上見てみぬフリは出来ない。
名言、「トラウマは克服するために在る」。
それに「気づけた」なら、
徹底的に向かい合うんだ。
大義名分や理屈のリボンで見た目を良くした
過去の箱は必要はない。
それは確かにわたしの一部なんだから。
見つけることが出来たならいま真っ直ぐに向き合うんだ。
見てみぬふりはせず、リボンを解いて
思い切って過去の箱を開く。
開けてはいけないと知らん振りして身近に置いてあったパンドラの箱には
ウソを吐くいまの自分の原型が潜んでる。
ピエロを涙を拭い落として心の底からの笑いを描き
神様には涙ではなく笑みを捧げる。
まずは
大義名分や理屈のリボンを解いて過去の箱をぶち壊して
自分に正直になるんだ。
誰かを騙して自分だけ笑う人間になりたくない。
綺麗ごとになるかもしれなくても
ウソは吐きたくない。
だからまずは箱を開けるんだ。
中にどれだけの闇が詰め込まれていようとも。
誰かの前に
自分に向き合うんだ。
開けてはいけないと自分が決めた
「パンドラの箱」を自ら開けるんだ。
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